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NEWS&TOPICS一覧

2021/12/06
Radio

ラジオNikkei(10月26日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:オミクロン株と南アフリカ経済 ======== 南アフリカで発見された、新型コロナの変異種オミクロン株は、感染力の強さやワクチンの有効性について不明な点が多く、現状、南アフリカから世界各地への拡散への懸念が高まっています。 しかしここでは、 オミクロン株の感染拡大が南アフリカ経済に与える影響について考えます。南アフリカでは、これまでにも新型コロナの感染拡大が暴動などにつながっており、今後、同国経済への悪影響が懸念されます。 南アフリカは従来からBRICSの一角として、資源開発や自動車製造により経済成長を遂げてきました。 しかしその一方で貧富の差が激しく、高い失業率が問題になっています。 社会的な混乱が続けば企業活動に悪影響を与え投資が手控えられるため、雇用がさらに減る、という悪循環が起きます。 この背景には、1990年代半ばのアパルトヘイト廃止以降も、黒人の若年層に満足な教育が行われないため職に就くためのスキルを得られず貧富の差が一層拡大する、という構造があり、事態の改善は容易ではないといえます。

2021/10/28
Radio

ラジオNikkei(10月26日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:半導体供給と台湾・中国 ======== 「世界的な半導体不足が続き、主要先進国がその確保策に取り組んでいます。 有力な半導体企業をもつ台湾は、この点を中国依存から脱する好機ととらえています。 投資環境の揃った日欧米への進出は、台湾企業の戦略とも合致します。 一方、中国は反発を強めており、月末以降、G20サミット・COP26における強硬姿勢につながることが懸念されます。」

2021/09/24
Radio

ラジオNikkei(9月21日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:アフガニスタン情勢とインド経済 ======== 「8月末、アフガニスタンから米軍が完全撤退し、タリバンが実権を握りました。 タリバンはパキスタンと関係が深く、パキスタンは従来から中国と親しい関係にあります。 中国は現在、タリバン政権とも関係の構築を進めており、国内のインフラなどを急いで再建したいタリバンにとって好都合です。 以上のように、この地域で中国の影響力が深まることは、政治・経済の両面で中国と対立するインドにとって大きなマイナスになると考えられます。 さらに今般、中国はTPP(環太平洋パートナーシップ)に加盟申請しました。このことは、中国から見れば、対米国だけでなく、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)交渉にさえ加わらないインドへのけん制ともなり得ます。インドでは、国内のコロナ禍がよ うやく落ち着き始め、今後は製造業の育成による貿易収支の改善などに取り組み、対外的には自由貿易政策を進めるといった改革が必要になるでしょう。」

2021/08/19
IR ニュース

ラジオNikkei(8月17日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:東南アジア・ASEANの現状と今後の展開 ======== 「インドネシアの一日の新型コロナ感染者数は約2万人、死者数は約1200人に達し ています。 この背景には人口が2億7000万人と非常に多く、首都ジャカルタを始め都市化が 進む一方、国土が広く島々に広がっていることがあります。 しかしこの点は同時に、国内市場が大きく経済発展の余地が大きいことも意味し ています。 最近では電子商取引のスタートアップ企業が、昔からの小売店と共存して発展す る事例などがあります。 このように東南アジア・ASEANでは、後発の国が最新の技術を活用し急速に追い 上げる’Leapfrog’とよばれる動きが活発化しています。」

2021/07/14
IR ニュース

ラジオNikkei(7月13日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:新興国のコロナ感染・今後の展開 http://market.radionikkei.jp/marketpress/post_9473.html ======== 「新興国では変異株によるコロナ感染が猛威を振るっています。 アジアではインドの感染がややピークアウトしましたがインドネシアなど他国に波及しています。 一方、今後感染拡大が懸念されるのは、これから冬を迎える南半球の国々です。 南米では感染対策を行う体制が貧弱な国が多い上、ワクチンが不足し中国製に頼るといった事情があります。 さらにアフリカでは、南アフリカ以外は感染が深刻化していませんが、今後については予断を許しません。 ワクチンの接種率が低く、ワクチンを調達する資金も不足しているためです。 以上、今後はワクチンを途上国に供給する国際的な枠組みが先進国の支援を受け、十分に稼働することが望まれます。」

2021/06/17
IR ニュース

ラジオNikkei(6月15日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:ミャンマーとASEAN経済 http://market.radionikkei.jp/marketpress/post_9354.html ======== 「ミャンマーの緊迫した状態が続いています。国軍が経済の悪化を顧みず、中国も国際的な批判をみて積極的に動こうとしないためでしょう。 しかし政治情勢が動かなければ、経済状況は確実に悪化していきます。日本企業を含む海外による投資が引き揚げ、社会インフラが整備途上にあるミャンマーにとって大きな痛手となるためです。 現在でもASEAN10ヵ国の中で一人当たり国民所得が最低のミャンマーは、他国から一層引き離されようとしています。」

2021/05/20
IR ニュース

ラジオNikkei(5月18日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:インフレ懸念と変異ウィルス http://market.radionikkei.jp/marketpress/post_9243.html ======== 「現在、世界の新興国は 2つのリスクに直面しています。1つは、米国経済のインフレ懸念が高まり金利が上昇し新興国の通貨が不安定になっていること、 もう1つは新型コロナの変異ウィルス感染拡大による影響を強く受けていることです。 インドでは変異ウィルスが急拡大し復旧には時間が必要ですが、先進国の支援もあり現状は経済・金融への悪影響を抑えています。またブラジルは感染拡大を州レベルで抑え、米国の金利上昇に対し自らも利上げを実施しています。 しかし今後、経済が脆弱でワクチンが充分に行き渡りにくい新興国への感染拡大に、一層の注意が必要です。 トルコは新興国の中ではインド・ブラジルに次ぐ感染者数ですが、強権的な指導者の許、経済面で国民の支持を受けるため中央銀行による利上げを阻止するといった危うさがあります。 一方、南アフリカでは、同国の変異種に対しワクチンが効きにくいのではないか、という点が懸念されます。」  

2021/04/16
IR ニュース

ラジオNikkei(4月13日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:米中対立とインド http://market.radionikkei.jp/marketpress/post_9124.html ======== 「米中対立が厳しさを増し、外交・防衛面では、インド太平洋地域では米日豪印による「対中包囲網」が形成されています。 しかし、経済面でもこのような枠組みができるかと考えた時、カギを握るのはインドでしょう。 インドではモディ首相が従来から汚職撲滅や税制の簡素化など、構造改革に取り組んでいます。 しかしインドは多民族・多宗教の国である上、民主主義を標榜しているため、改革には時間がかかります。この点はトップダウンで意思決定を行う中国とは対照的です。 例えば、日本が推進してきた包括的な地域自由貿易協定であるRCEPに対し、インドは国内の抵抗により参加していません。 以上のように考えると、アジアの「対中包囲網」がサプライチェーンなど経済面でも強固になるかどうかを考える上では、今後、インド経済の動向が重要になる」と述べています。  

2021/03/17
IR ニュース

ラジオNikkei(3月26日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:ミャンマー情勢と対外関係 http://market.radionikkei.jp/marketpress/post_9021.html ======== 「前回、2月中旬の放送では、クーデタを起こした軍が、国民による支持と海外からの直接投資という政治・経済両面への影響を理解すれば、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)との間で妥協点を探る展開になるだろうと考えました。 しかしその後、軍は強硬な姿勢を崩さず、多数の一般市民の死者が発生するという事態に至っています。 この状況では、国内で解決を図ることが困難なばかりか、欧米各国や日本も有効な手を打ちにくく、現地生産を行ってきた海外企業が撤退する動きが生じています。 今後は、中国が対ASEANや国連の場で、事態を収拾する方向性を示すかどうかが問われる」と述べています。  

2021/02/18
IR ニュース

ラジオNikkei(1月26日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:ミャンマーの行方と東南アジア http://market.radionikkei.jp/marketpress/post_8910.html ======== 「ミャンマー情勢を考える上で、国内的には先の選挙で示された通り、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)に対する市民の信頼が高いという政治面に加え、対外的には軍が実権掌握が続いた場合、先進国による制裁と外国企業の投資減少につながるという経済面の影響が考えられます。この点は、タイで軍の影響を受けた政権が続く一方で国王への信認が低下していますが、自動車など外国企業の投資が既に集積しており、経済が政治に左右されにくいことと対照的です。両者を比較すると、今回、ミャンマーの軍による統治基盤はタイほど強くはない、といえるのではないでしょうか。」