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NEWS&TOPICS一覧

2022/06/01
Radio

ラジオNikkei(5月24日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:ウクライナ侵攻とバイデン米大統領来日 ======== 「-ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する見通しが高まっています。西側諸国の追加的な支援は今後、ウクライナにとってプラスとなる一方、ロシアは南部を固め東部に戦力を集中しつつあります。但しロシア軍の戦死者増加の事実が浸透すれば、ロシア国内の反発が高まることが予想されます。 -バイデン大統領の来日中に立ち上げられた(IPEF)は、互いの関税引き下げを伴わず、貿易・サプライチェーンなどの分野で協力するインド太平洋経済枠組みです。 参加を表明したASEAN7か国にとっては、中国とのバランスを考える上で、インフラ支援などのメリットを得られることがIPEFに前向きに協力する条件になります。 一方、インドにとっては、ロシアとの友好関係を持ち、国内経済の改革途上でもあるため、関税引き下げを伴わない緩やかな枠組みにはむしろ取り組みやすい面があります。 -以上のように考えれば、IPEFが経済面でアジアの新興国に具体的なメリットを示せれば、中国・ロシアを念頭においた「経済と安全保障の好循環」への道が開かれることになるでしょう。」

2022/04/28
Radio

ラジオNikkei(4月26日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:ウクライナ侵攻と新興国経済 ======== 「第一に、前回3月29日の出演で述べたロシアの「三つの誤算」について、ウクライナが徹底抗戦しロシアの作戦の甘さが目立っていること、欧州が各国間の利害を超え結束し経済制裁などを行っていることは、現在も変わっていません。 一方、ロシア国内で戦争に対する反発は、厳しい統制を受ける市民、既得権益を手放したくない新興財閥に加え、現状、戦況を知る軍・情報部門もプーチン氏に反旗を翻すことは難しい状況です。 ひいてはロシアが自壊するという見方に変わりはないものの、今後プーチン氏が戦争の着地点をいつ、どう見極めるかが焦点になりつつあります。 第二に、新興国への影響は、経済規模の大きい中国・インド・ブラジルなどと、経済規模が小さく資源を持たない中小国に分けて考える必要があります。 前者が先進国に代わりロシアからのエネルギーを引き受けることは、ロシアにとってもメリットがあります。 一方、後者への影響は深刻です。元々貿易赤字などを抱えている国がエネルギー・食料価格の上昇により打撃を受け、各国の通貨が下落すれば輸入物価がさらに上昇する、という悪循環に陥ることになるでしょう。」

2022/04/01
Radio

ラジオNikkei(3月29日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:ウクライナ侵攻とロシアの誤算 ======== 「前回2月22日の出演直後から、ロシアによるウクライナ侵攻は急展開を見せました。 しかし、ロシア側には三つの誤算があると思います。 第一の誤算は、すでに報道されている通り、戦局がロシアに有利な展開となっていないことです。 この点、ロシア軍の士気の低さ、プーチン氏の精神状態などが取りざたされていますが、私は2017年のクリミア支配が短期間で実現したため、 ロシアが当初ウクライナを甘く見ていた驕りが作戦に影響したのではないか、と考えています。 第二の誤算は、先進主要国、特に従来はロシアとの経済関係の濃淡などから各国の立場が分かれていたEUが、ロシアの軍事進攻という強硬策によりかえって一致団結し、経済制裁の強化や国民の受け入れを進めていることです。 第三の誤算は、ロシア国内で戦争への反発が強まっていることです。 一般市民に対する統制を強めても、戦争の実態を知る政府内の情報部門などで反発が強まれば、経済制裁により打撃を受けてもプーチン氏と結託しているために表立って反発しにくい新興財閥(オリガルヒ)が同調し、プーチン氏の政権基盤がロシア国内から不安定化する可能性が生じるでしょう。」

2022/03/01
Radio

ラジオNikkei(2月22日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:韓国のRCEP発効と大統領選挙 ======== 「2月1日、韓国に対し「地域的な包括的経済連携」(RCEP)が発効しました。 日韓間で初の経済連携協定であり、製造業を中心に今後活用されることが期待されます。 さらに3月9日に行われる韓国大統領選挙に向け、与野党両候補の接戦が続いています。 保守系の野党候補が勝利した場合、政治面でも日韓関係の改善が期待されるでしょう。」

2022/01/27
Radio

ラジオNikkei(1月25日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:新興国の二大リスク ======== 「中国のゼロコロナ政策が、国産ワクチンの効果の低さなどから失敗に終わる、という指摘があります。 ここでさらに深刻な問題は、中国が欧米のコロナ対応との違いを強調する政策を採り、経済とのバランスを無視していることです。 一方、ウクライナに対するロシアの侵攻が懸念されます。米ロ会談によりいったん収束するという見方が依然多いものの、ロシアが国内で支持を高めるメリットと経済制裁を受けるデメリットを比較し侵攻に踏み切る可能性が高まっています。 両国ともに、現政権が自らの権力基盤固めを経済運営よりも優先している、と言わざるを得ないでしょう。」

2022/01/05
Radio

ラジオNikkei(12月28日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:新興国・今年の回顧と新年の展望 ======== 「2021年初、米国に誕生したバイデン政権は、人権問題・台湾領有などをめぐり中国に対し強い姿勢を示しました。 しかし8月末、駐留米軍がアフガニスタンから撤退したことを受け、米国の世界的な影響力への懸念が生じました。 中国に加えロシアも、外交的に強硬な姿勢を取るようになりました。 2022年は先ず、ロシアがウクライナ周辺に軍を集め緊張を高めている事態がどう収束するかが注目されます。 中国でも2月の北京オリンピックを前に、外交関係への懸念が高まっています。 しかし2022年を全体としてみると、中国は共産党大会、米国は中間選挙をそれぞれ秋に控えており、両国の姿勢が急に変化する可能性は高くないと考えます。 経済面では、年初から日中韓を含むアジアの地域自由貿易の枠組みであるRCEPがスタートします。 さらに年後半にかけ、中国のCPTPP加盟の是非、自由貿易に慎重なインドの動向などが焦点になるでしょう。」

2021/12/06
Radio

ラジオNikkei(10月26日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:オミクロン株と南アフリカ経済 ======== 南アフリカで発見された、新型コロナの変異種オミクロン株は、感染力の強さやワクチンの有効性について不明な点が多く、現状、南アフリカから世界各地への拡散への懸念が高まっています。 しかしここでは、 オミクロン株の感染拡大が南アフリカ経済に与える影響について考えます。南アフリカでは、これまでにも新型コロナの感染拡大が暴動などにつながっており、今後、同国経済への悪影響が懸念されます。 南アフリカは従来からBRICSの一角として、資源開発や自動車製造により経済成長を遂げてきました。 しかしその一方で貧富の差が激しく、高い失業率が問題になっています。 社会的な混乱が続けば企業活動に悪影響を与え投資が手控えられるため、雇用がさらに減る、という悪循環が起きます。 この背景には、1990年代半ばのアパルトヘイト廃止以降も、黒人の若年層に満足な教育が行われないため職に就くためのスキルを得られず貧富の差が一層拡大する、という構造があり、事態の改善は容易ではないといえます。

2021/10/28
Radio

ラジオNikkei(10月26日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:半導体供給と台湾・中国 ======== 「世界的な半導体不足が続き、主要先進国がその確保策に取り組んでいます。 有力な半導体企業をもつ台湾は、この点を中国依存から脱する好機ととらえています。 投資環境の揃った日欧米への進出は、台湾企業の戦略とも合致します。 一方、中国は反発を強めており、月末以降、G20サミット・COP26における強硬姿勢につながることが懸念されます。」

2021/09/24
Radio

ラジオNikkei(9月21日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:アフガニスタン情勢とインド経済 ======== 「8月末、アフガニスタンから米軍が完全撤退し、タリバンが実権を握りました。 タリバンはパキスタンと関係が深く、パキスタンは従来から中国と親しい関係にあります。 中国は現在、タリバン政権とも関係の構築を進めており、国内のインフラなどを急いで再建したいタリバンにとって好都合です。 以上のように、この地域で中国の影響力が深まることは、政治・経済の両面で中国と対立するインドにとって大きなマイナスになると考えられます。 さらに今般、中国はTPP(環太平洋パートナーシップ)に加盟申請しました。このことは、中国から見れば、対米国だけでなく、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)交渉にさえ加わらないインドへのけん制ともなり得ます。インドでは、国内のコロナ禍がよ うやく落ち着き始め、今後は製造業の育成による貿易収支の改善などに取り組み、対外的には自由貿易政策を進めるといった改革が必要になるでしょう。」

2021/08/19
IR ニュース

ラジオNikkei(8月17日)/ 林秀毅 特別招聘教授(国際関係学研究科)が「新興国マーケット情報」コーナーにて解説しました。 ======== テーマ:東南アジア・ASEANの現状と今後の展開 ======== 「インドネシアの一日の新型コロナ感染者数は約2万人、死者数は約1200人に達し ています。 この背景には人口が2億7000万人と非常に多く、首都ジャカルタを始め都市化が 進む一方、国土が広く島々に広がっていることがあります。 しかしこの点は同時に、国内市場が大きく経済発展の余地が大きいことも意味し ています。 最近では電子商取引のスタートアップ企業が、昔からの小売店と共存して発展す る事例などがあります。 このように東南アジア・ASEANでは、後発の国が最新の技術を活用し急速に追い 上げる’Leapfrog’とよばれる動きが活発化しています。」