図書館は人生のパートナー

図書館は人生のパートナー ”The Library is a verb”  翻訳版

国際経営学研究科2020年修了生(MBA) Ms. Yayeri Nalumansiよりメッセージ
-ProQuest社と国際大学松下図書・情報センターにおけるインターンシップでの経験を通して-

時代と共に、図書館は静かな読書スペースを提供する建物から、人々に様々なサービスを提供するものへと変化してきました。今日では、図書館の意義は単なる建造物にとどめることはできなくなっています。機関として、物理的な構造とそこに収められた書籍以上の存在なのです。図書館はあまたの情報を提供し、様々な知見と視点へのアクセスを可能にし、そして最も重要な取り組みとして、コミュニティの形成を支援します。私たちの図書館とのはじめての出会いは、生まれ育った地域の公共図書館なのではないでしょうか。そこで私たちは、社会の様々な人たちと1 つの共通項のもとに出会うのです。それは、知識への欲求です。私たちは図書館カードを手に持ち、書籍を借りました。そして借りた分だけ、私たちの思考は広がり、世界のあらゆる可能性を想像したのです。書籍、辞典、雑誌や新聞が読まれる度に、私たちの地域はより教養が豊かになります。従って、図書館は私たちが住む世界の自覚を促し、より良く生きるための情報を提供することにより、私たちの人生を変えると言えるのです。

図書館の取り組みは当初、適切なときに、適切な人々に、適切な書籍を提供することに焦点があてられていました。レファレンスサービスを通じて、図書館員は利用者が求める情報を見つけることを支援したのです。あなたが探しているテーマと関連する書籍が並べられているセクションと書棚の場所を教えることにより、図書館員が導いてくれました。21 世紀に入り、図書館員が提供してくれるサービスは、これら従来のものから更に多くなりました。このなかで最も顕著で重要なものは、今日の図書館が提供するより広範囲にわたるアクセスと、それにより生まれる社会的包摂です。コンピューターと携帯端末により、図書館は利用者に電子書籍やデータベースなどのオンラインツールを提供することが可能になりました。これにより、年中無休で図書館が利用できるようになりました。図書館の掲げる「何人も図書館は歓迎し、全ての人に何かを提供する」という方針は健在なのです。生活をより良くするため(ライフハック)の情報、世界の報道、読書会など、図書館は利用者の様々なニーズに応えるべきとの立場を保持してきたのです。

大学院生にとり図書館は、学習を深化させ、研究目的を達成するための利用が、最も一般的でしょう。しかしながら、その利用についての適切な知識や、容易にアクセスできるツールの存在を知らなければ、そのプロセスは退屈で手間のかかるものとなるでしょう。時間を節約し、効率良く研究を行うには、探している情報がどこにあり、それがどのように得られるのかを知ることが大切です。情報の効果的な利用に関わる、「何を」、「いつ」、「どのようにして」、という問いに答えるには、学生は情報リテラシーと呼ばれるスキルを習得しなくてはなりません。情報リテラシーは、以下のような方法で、情報過多のなか、必要な情報にたどり着くことを可能にしてくれます:
• 関連するコンテンツを見つけ、提供元の信頼性を評価し、(適切な参照により引用元をあきらかにすることにより)知的財産を尊重する。
• 情報は様々な形態で存在し、異なる経路で流通しているが、情報リテラシーはそれらの情報源を見分け、私たちの情報ニーズに適切なものを選択することを可能にする。
• 情報の重要性と関連性を評価し、この作業により、情報を処理し、整理し、そして統合することを可能にする。
• 特定の課題や分野について、新しい情報や観点を特定することを支援する。これは研究テーマについて既に文献を出版している研究者を見つけることを可能にするため、学術研究では特に重要である。
• 最後に、研究には効果的な情報取得戦略が必要とされる。適切なキーワードと検索ツールを用いることにより、無数の情報に埋もれず、求める情報を得るための時間を節約することができる。

デジタル時代において、情報リテラシーはオンラインで情報を検索するために極めて重要な技能なのです。

それでは、どのように情報リテラシーは学術研究と関連するのでしょうか?

「あなたがそのことを知るまでは、あなたが何を知らないかを知ることはできない」と言われます。

学生として、Google 検索を先ず利用することは自然な傾向です。何と言っても、太陽のもとで想像することのできるあらゆる情報において、「Google はあなたの友人」とされているからで
す。しかし、有料の壁(ペイウォール)や、関連性と情報源の信頼性などが、この検索ルート上で課題として直面することになるのです。従って、学術研究では、考え方を変える必要があるのです。松下図書・情報センター(国際大学の図書館兼IT担当部署)の取り組みに参加することにより、図書館についての知識を高め、研究技能を向上させることができます。論文やレポートの草稿のために、コンピューター室であわててデータを探すことも少なくなるでしょう。

キャンパスで開催されるProQuestの図書館主催ワークショップは、図書館の情報の活用方法を知る1 つの方法です。私自身、「知識は力である」という考え方から、「正しい知識こそ、力の源である」という考え方への、ダイナミックな転換を経験しました。研究を行う際に必要な情報を見つけることは、困難なことかもしれません。なぜなら、図書館が所蔵し、提供する膨大な情報を調べる必要があるからです。デジタル時代に促されて進化した図書館は、特にその電子資料とデータベースにより、デジタルコンテンツへのアクセスを利用者に無料且つ容易な方法で提供するようになりました。図書館は学生に書籍、雑誌、学術論文と一次資料を提供します。これらの資料はデータベースにも収録され、それらは全て、信頼できる研究者と執筆者により編集されたものです。これらの資料はインターネット上では見つけることができず、図書館を利用する最大の利点です。このように、図書館が提供する資料は正確性と信頼性が確保されています。そしてこれら全てが、数回のクリックで大学図書館のサイトから利用することができるのです。従って図書館は、学生であるあなたの研究活動において、必要なものを全てそろえた、ワンストップの場所と言えるでしょう。

卒業後、情報スキルはキャリアにとっても重要になります。なぜなら、職場での課題を解決するためにデータと情報を有効利用するには、意味のある調査・研究結果を効率よく見つける必要があるからです。従って、図書館を活用することにより身に付く情報リテラシーは、生涯にわたり活かせる技能となるのです。

子供の頃、学生時代、そして学業を終えたあとも、図書館は私たちの人生のパートナーなのです。公共図書館、学校図書館、大学図書館など、かたちを変えて、図書館は常に私たちのそばにいるのです。しかしながら、私たちがどのように図書館を利用するのか、その手法は初心者から学生、そして研究者の水準へと成長します。その進化により、図書館はデジタル時代に適応し、社会に遍在することにより、私たちに容易なアクセスを実現してきました。2700 年の歴
史を持つ図書館は、今もなお社会に貢献し、私たちの価値ある資源として存在し続けているのです。