修了生の活躍 #1
IUJでの学びが、Tokyo Organicの原点に
IUJ在学中、授業の一環として「会社を立ち上げ、プレゼンテーションを行う」という課題がありました。そのとき、私とZureitaは同じチームになり、「Tokyo」という架空の会社を立ち上げ、オーガニックコスメをテーマに、サプライチェーンやオペレーション、マーケティング戦略まで含めた事業計画を作成しました。プレゼンテーションは非常に完成度が高く、「いつか日本で一緒に本当にやってみたいね」と話すようになりました。
IUJではグループワークが多く、「卒業前に何か一緒にやりたい」「IUJでの学びの集大成として何か形にしたい」といった会話は、学生同士ではよく交わされます。当時は、それが実際に会社設立につながるとは、正直なところ想像していませんでした。
同じように、ZunitaとYukaの間でも「一緒に何かできたらいいね」という会話がありました。YukaはIUJ入学前から関連分野の経験を持っており、何気ない友人同士の会話として交わされていたアイデアでした。卒業後はそれぞれ別の道を歩み、国も活動内容も異なっていましたが、さまざまな偶然とタイミングが重なり、最終的に再び一つのチームとして集まることになりました。
IUJの教育で強く感じているのは、単に知識を学ぶだけでなく、「人とつながり、信頼関係を築く力」を育ててくれる点です。多国籍・多文化の環境の中で、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちと協働し、プロジェクトやリサーチに取り組む経験は、現在のビジネスの土台になっています。
一緒にビジネスを始める段階では、すでにお互いの強みや弱み、得意なこと・不得意なことを理解していました。IUJでの学びと人との出会いが、Tokyo Organicというビジネスを現実のものにするための、揺るぎない基盤になっています。

なぜTokyo Organicを立ち上げたのか

日本に来て最初に強く意識するようになったのが、清潔さや日々のセルフケアでした。同時に、それまであまり考えたことのなかった課題にも直面しました。母国では、安心して使える肌にやさしいスキンケア製品を簡単に見つけることができていましたが、日本では言葉が分からず、成分も理解できず、「この商品は使って大丈夫だろうか」「自分の肌に合っているのだろうか」と、常に不安を感じるようになったのです。
友人たちに相談してみると、これは私一人の問題ではないことに気づきました。同じような不安を抱えている人が多く、「これは変えていかなければならない」と強く感じました。その経験が、Tokyo Organic の原点です。
Tokyo Organic は、成分の透明性が高く、信頼できるスキンケアを届けたいという想いからスタートしました。厳選した高品質な原料を使用し、ヴィーガン対応で、ムスリムの方にも安心して使っていただける、オーガニックなスキンケアです。このコンセプトを実現するため、条件を満たす製品を製造できる企業やOEM工場を探し始めました。
しかし、その道のりは決して簡単ではありませんでした。会社経営そのものが難しい中で、国をまたいで事業を運営することは、さらに大きな挑戦でした。最初にマレーシアで会社を設立し、その後日本に移ったことで、海外から事業を管理する難しさに直面しました。数え切れないほどの困難や葛藤があり、事業をやめて穏やかな生活を選ぶべきか、本気で悩んだこともあります。
それでも、簡単に諦めたくはありませんでした。試行錯誤を続ける中で、ふとIUJでPramoとYukaと過ごした時間を思い出しました。その瞬間、「これが解決策だ」と感じたのです。二人に連絡を取り、実際に会って話し合い、どのように始めるのか、どう計画するのか、そしてIUJで学んだことをどう活かすのかを徹底的に議論しました。その出会いこそが、Tokyo Organic を単なるアイデアから、実際のビジネスへと変える本当のスタート地点となりました。
国際的な同級生として起業する際の課題
私たちは大きな期待を胸に事業をスタートしました。しかし、すぐに想像以上に法的手続きに時間がかかることを実感しました。2024年8月に事業を立ち上げたものの、12月の時点でも登記は完了しておらず、手続きの一つひとつが、外国人にとって大きな壁となっていました。
CEOであるZunita名義での銀行口座開設といった、基本的な手続きでさえも非常に困難でした。そのたびに、ZunitaとPramoの身分証明書や各種証明書をまとめた分厚い書類を用意し、役所や関係機関の窓口で、何度も説明を繰り返しました。こうした経験を通して、日本人である私自身も、外国人が日本で起業する際にどれほど多くの困難に直面しているのかを、初めて実感しました。
現在も、これらの課題を一つひとつ解決しながら前に進んでいます。同時に、自分たちの経験から得た解決策を、将来起業を目指すIUJの学生たちと共有していきたいと強く感じています。これらの困難を「知恵」として次につなげていくことが、私たちの大きな願いです。

今後の展望 ― Tokyo Organic のこれから

Tokyo Organic は、日本国内では東京・大阪・新潟を拠点に、事業の拡大を進めています。あわせて、アメリカ、カナダ、ヨーロッパをはじめとするグローバル市場への輸出準備も進めています。
また、IUJの同窓生ネットワークを積極的に活用し、新たな市場とのつながりを広げていく計画です。ウズベキスタンやタジキスタンなどの地域を含め、Tokyo Organic をさらに国際的なステージへと展開していきたいと考えています。