異文化共生の経験を活かし、
国境を超えて人と人をつなぐ

医療機器メーカー

沼田 一

Terumo BCT, Inc.

INTERVIEW

私は現在、医療機器の製造やサービスの提供をグローバルに展開するテルモ株式会社の子会社Terumo BCT, Inc.で働いています。Terumo BCT, Inc.はアメリカに本社を構える企業です。主に親会社であるテルモ株式会社とのコーディネーター役として、適切なコミュニケーションを図りながら事業戦略の策定に関わっています。

親会社との間に入りコミュニケーションを進める中で、国境を越えるからこその難しさも感じています。その1つが相手の国の文化や価値観に対してステレオタイプを持ってしまうことです。例えば、アメリカ人は日本人に比べ、物事の行間を読まないという印象を持っている方もいるかもしれません。ただ実際は行間も読みますし、物事の色々な面に配慮しながら発言しています。このようなイメージとのギャップは、お互いに誤解を生んでしまい事業を進める上での障害になってしまいます。その障害をできる限り解消するために、相手がどのような考え方をしているか、価値観を持っているのかということをしっかり説明し、お互いが少しでも理解し合えるように心掛けています。

このようなコーディネーターの役割を担う中で、国際大学に在学した経験が活かされていると感じます。国際大学は新潟県にある大学院大学で、約60カ国・地域から政府関係者や企業人などさまざまなキャリアを持った人々が集まっています。私自身は企業人ですので、得た知識を事業にどう活かすかを考えることが多いです。一方で政府関係の方はどのように国の政策に活かすか、どのようにして社会に還元していくかという視点で意見を持たれます。加えて国や文化が違えば、さらに多様な意見が集まります。単純な利益追求だけではなく、さまざまな立場の方と協働し、国や社会にインパクトを与えることが求められる現代においては、国際大学での異文化共生の経験は大変貴重なものだったと感じます。

今はCOVID- 19の影響もあり、物事が大きく転換するタイミングに入っています。海外の人が得意とする「何かをゼロから生み出し社会を変えていく力」と、日本人が得意とする「何かをさらに良くしていく力」がコラボレーションすることで、より大きな価値を創出できると考えています。海外へ留学することに対してハードルのある現在においては、国際大学のように日本にいながら多様な文化・キャリア・宗教と関われる環境は重要です。私自身も国際大学での学びを起点に、知見を広げながら会社運営に関わり、医療の現場に貢献していきたいと考えています。

Profile

沼田 一
Terumo BCT, Inc.(コーディネーター)
国際経営学研究科
MBA1年制プログラム 2013 年度修了

GSIR 国際関係学研究科